Themeを絞る

おもしろいと思えるtopicで、ある程度の資料文献があることがわかったら、自分はどういう議論を展開できるか、論じるthemeを絞ってみましょう。
たくさんの人が既にいろいろなことを言っていても、自分自身はそのtopicについて、どういう立ち位置をとるかを考えましょう。
それがtheme(論点)になります。

1  一次文献をよく読む
まず、一次文献をよく読みます。
ノートやメモをとって、文献名や該当ページを記録しておきましょう。
書き写す場合は一字一句正確に。
自分の言葉でまとめるのもよいですね。
書き写しか自分のまとめかははっきり区別しておきましょう。

2. 二次文献を調べる
先行研究を整理します。
どのようなことが議論されているのかまとめてみましょう。
研究の対象や方法を整理しておくとよいです。
たとえばスコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』をtopicに選んだとします。

  • 作家の伝記と関連づけたもの→伝記、同時期の作品との比較
  • 1920年代の社会史と関連づけたもの→20世紀初頭のアメリカ史
  • ニューヨークの文化史と関連づけたもの→同時代の文化や風俗
  • 「アメリカの夢」と関連づけたもの→「アメリカの夢」を扱った他の作品との比較   などなどの文献をあたってみましょう。

3. 問題提起をする
そのうえで、自分の興味や関心にしたがってthemeを絞っていきましょう。
問題提起を考えます。簡単な疑問文を作ってみましょう。
たとえば、「主人公が追ったアメリカの夢とはなんだったのか?」「女性の生き方には選択肢があったのか?」「この小説はニューヨークだからこそ成立したのか?」
この疑問に対する答えを探すことが、論文を書く作業になっていきます。
答えがみつかりそうにない疑問文、既に簡単に答えがわかっている疑問文は論文のthemeにはふさわしくありません。

4. 文献を読み込む
この段階で一次文献、そしてさらに集めた二次文献を読み込んでいきます。
誰がどの文献のどの箇所で何を言っているのか、しっかりノートをとっていきましょう。
該当ページを正確に記録することも忘れずに。

5. 先行研究をまとめる
あるthemeについて既存の研究は何を言っているか?
通説は何か?
その際に、さらにあなたが議論を展開すべききっかけを探してみてください。
もっと十分に説明できる点はないか?
反論すべき点はないか?
異なる視点はないか?
他との関連性が見落とされていないか?
などなど。
そういった問題点が発見できれば、それがthemeになっていきます。

発見がなければ、再度一次文献(二次文献ではなく!)を読み込んで、自分の興味や関心に向き合ってください。

6. 同時にこのthemeを考えることで何が見えてくるのか、研究の目的についても考えてみましょう。
(e.g.〜について〜の視点から考えることで〜が〜であることを明らかにする)
このthemeを考えることで見えてくるものは何かを報告します。つまりthemeよりもう一次元高い、より広い視野で見えてくるものを言います。
例えば「『ハック・フィン』におけるハックの良心の葛藤を考えることで、社会道徳と個人の倫理との相克を明らかにする。」などです。

7. おおよそのthemeが決まったら、具体的な方法論を考えましょう。
問題を明らかにするために、何を知ること/考えること/することが必要かを考えます。
それに伴って必要な文献をさらに探すことになります。

Theme Proposalでは以下の4項目を明記します
I.  Topic (作家名、作品名など)
II. Theme (できるだけ具体的に)
III.このthemeを選んだ理由 (自由記述)
IV. このthemeによる研究の目的
V. 最新資料文献リスト(一次およびthemeに関連した二次資料文献)
・一次およびthemeに関連した二次資料文献 主要図書文献5冊以上+関連図書文献5冊上+関連研究論文などわかる限りでリストアップ
・文学作品以外の場合は主要図書文献5冊以上+関連図書文献5冊以上+関連研究論文など

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